普段のズボン(その2) 2010年02月
「世の中スイスイ(粋々)、お茶漬けサクサク…」志ん生、志ん朝の噺に出て来るフレーズ。肩の力が抜けてあんにゃもんにゃです。~長い散歩の途中~
ジェット気泡
近頃の銭湯にはたいてい気泡が出る湯船がある。
気泡がサイドから噴き出るものや、底から噴き出るもの、
また<底からタイプ>も底全面から平均的に出たり、
1ヵ所から集中的に出たり、
またあるいは座風呂といって深目な浴槽に座って背中、
ふくらはぎ、足裏にジェット気泡が当たるタイプなど、
…とにかくいろいろだ。

ワタシがいつも行く銭湯のメインの湯船は、
底面の真ん中1ヵ所からボッコンボコボコ噴き出て来るタイプ。
母に言わせると、体重30kg台の母はその水流に抗しきれず
流されてしまうから湯船の縁に必死に掴まっているとの事。

ある日いつものように銭湯に行ったらかなり空いていた。
洗い場に入ると、湯船にひとり、そのすぐ近くのカランにひとり、
さらに遠くにひとりとガラ空き状態。

さて湯船に入ろうとすると、
ん? なんか変。
湯船に入っているおじさんがなんか変だ。
湯船の角に両肘を掛けて体重を預けている。
湯船の隅の直角に対して身体は対角線に伸びている。
下半身は湯船の中心部の「強力ボコボコ噴水流」に委ねている。
底から勢い良く噴き上げてくる泡に仰向けに乗っているカッコウだ。
顔は無表情。見かけない顔のおじさんだ。

ワタシも少し離れて同じ湯船に入る。
おじさんは子供時代に帰ってふざけているのかも知れない。
おじさん流の<あの日にかえりたい>か。
しかし、噴流の勢いが強いため浮いた身体が
湯船の中心部に少しずつ動かされている。
それにともない、身体をささえる支点が肘から腕、掌、指になって行く。
腕が疲れて横になった身体が徐々に沈んで行くように見える。
態勢が無理になったら一度底に足を着いて
姿勢を直せばいいのに、とワタシは不審に思った。
ところがおじさんは相変わらず無表情である。
ということは別に問題は無いんだろうな。

この状態を楽しんでいるんだろうか?

態勢を支えている腕が限界になっているように見えるのだが。

すぐ近くのカランで洗っているおじさんは
90度違う方向を向いているので全くこの状況に気付かない。

しかし…、
おいおい、仰向けの姿勢で段々顔が沈みつつあるぞ。
もはや目,鼻、口しか水面から出ていない。
いくら何でもこりゃ、変でしょ。
息が出来なくなる寸前だ。

「おじさん、ダイジョブ?」と声を掛け、
横で洗っているおじさんにも「この人溺れそうだよ」と伝える。
その90度方向違いおじさんもすぐに理解して一緒に引き上げる。

とりあえず湯船の外の縁に寄りかかって座らせた。
本人はひと言も発せずきょとんとしている。
脱衣場に連れて行った方がいいと判断し、
ふたりで抱えて移動しタタミ1畳ほどの腰掛けに寝かせる。
番台にいる銭湯の旦那にもその旨を伝える。
(フロント方式なので番台から脱衣場が見えない)

銭湯の旦那が湯当りしたんだなと言って
「しばらく休憩して横になってなよ」。
サウナ用に用意してあるタオルを何枚も裸の身体に掛ける。
本人は相変わらず無表情である。

ま、一応の役目は済んだのでワタシは洗い場に戻る。
一緒に運んでくれたおじさんは面倒見がいい性格らしく
まだ付き添っている。

ワタシは身体を洗いながらも
脱衣場のほうをチラチラ見て気にしていると、
件のおじさんは5分くらい経ったら上半身起き上がった。
さらに数分経つとよろよろ立ち上がった。
まずはオオゴトにはならなかったようで良かった。
帰り支度で服を着始めている。
遠目でよく分からないが相変わらず表情はぼんやりしている。
結局なんだったんだ、あの人は。

そもそも風呂屋で会う人は、
懇意という訳ではないので特に話は交わさない人でも
顔見知りの人がほとんどだが、
あの人は知らない人だ。
だれ?

それから何ヵ月か経ってふと思った。
あれは<ぬらりひょん>ではなかったか。

大掃除とか田植えとか一家総出で朝早くから忙しく立ち働いている時、
囲炉裏の傍や、茶の間でのんびりお茶などすすっている人がいる。
家族の誰もが気付くが、あまりにも自然にいるので誰かの知り合いだと思い
「スイマセンね、バタバタしてまして…」と恐縮する。

夜になりやっと一段落し団欒の時に、
「そう言えば、さっきのあの人はだれだったんだ?」
という話になり、ようやく家族の誰も知らない人だった事が判明する。
それが<妖怪ぬらりひょん>だ。

現代のぬらりひょん先生、
ふと銭湯にでも行ってみようかと思い
お出ましになったんではないか。

ところがセンセイ、ちょっと最近の銭湯事情に疎く、
慣れないジェット気泡水流に
翻弄されちまったんではないだろうか。

あれからこっち、センセイは二度と見かけない。
真ん中新軌道
京成線京成曳舟駅周辺高架化工事中。

まず下り軌道を既に仮移設して運用中。
空いた真ん中のスペースに高架脚を作るのかと思ったら、
そこに上り軌道を移設すべく敷設し始めている。

つまり上下線を平行移動させて
空いた敷地に高架脚を作るようだ。

新軌道
ツバキ、最初の1輪
これも昨日発見。
例年よりかなり早い。

つばき
ベランダの春
昨日のベランダ。


むすかり小さなムスカリの蕾みが顔を出した。

じんちょうげ今年も沈丁花の最初の1輪が開く。
白鬚橋アーチ鉄骨
白鬚橋から見るスカイツリー、まだ303mのまま。

白鬚橋
ミツマタ(三椏)
和紙の原材料であるコウゾ(楮)やミツマタ(三椏)。
これはミツマタ。
枝分かれ部分が三つ又に分かれている。

みつまた
交差点犬
毛の少ない犬は防寒も。

交差点
エレベータ
東京スカイツリーの根元部分。
エレベータが見える。
いわゆるシースルーのように見えるが
展望台までこのまま素通しなのか。

(想像すると)かなり怖いぞ。
高所恐怖症の人は展望台にたどり着くまでに失神するんじゃないか。
(第1展望台/高さ350m、第2展望台/高さ450m
※ちなみに東京タワーは大展望台/150m、特別展望台/250m)

エレベータ
303m
いよいよ300mを超えた(2月16日現在:公式HPによる)。

右の建物は東京スカイツリープロジェクトの主体<東武鉄道>の新本社。
旧本社ビルはスカイツリー周辺再開発で解体された。

303m



(※ほぼ同じ場所からの前回写真2009年8月1日
彫物のひと
正月の2日、銭湯は朝湯だ。
たいていの銭湯では午前中営業する。

通常の銭湯は習慣で大体同じ時間に行くので
見渡すとほとんどいつもの顔ぶれである。
ところが朝湯は
日常から離れて顔ぶれがシャッフルされるので
見回すと多くが見た事ない人たちになる。
高窓から陽光が差し込んで淑気も漂う。
ちょっと新鮮で、いい気分である。

まだ父が生きていた頃、
90歳近い父を連れて銭湯に行っていた。

歩くのが不自由になって来て
手押し車を押していくようになり、
次に車椅子に乗せて行くようになった。
脱衣場と洗い場は手を引いて移動。

その歳になると、時には多少認知症的な
振る舞いもないでは無い。

ある年の朝湯。
スゴい彫物の人が入って来た。
年の頃40歳代か。

下町の銭湯だから普通の彫物の人は
いつでもいるので全く驚かない。
しかし、その人は違った。
ウワサに聞いた事がある通称「どんぶり」というものだ。
(彦六の)正蔵が落語<火事息子>の中で描写する
「手っ首から足っ首まで」という総身彫りだった。
初めて目にしたが迫力満点。
気がついた人が皆息をのんでいるのが分かった。
見て見ぬふりをしている。
どんな人か見当が付かないので様子見だ。
「何を見ていやがる」等とインネンをつけるような人だとまずい。

この人が洗い場から脱衣場に上がっても、
なかなか服を着ないでグズグズしている。

素っ裸のまま、スポーツ新聞を見たり
マッサージ機に掛かったりして寛いでいる。
「あ、そうか」と思った。
たぶんこの人は普段は自宅の風呂に入っているんだろう。
したがってこの自慢の彫物を、家族か
身近の者くらいにしか見せる機会がないんだ。
それじゃやっぱり詰まらないんじゃないだろうか。
そこでこの朝風呂という不特定多数の人に見せる機会を
大いに活用しているのだろう。

ワタシたち父子も洗い終わって
脱衣場の真ん中のタタミ1畳ほどの腰掛けに掛けた。
父が自分の横をフト見てそこにあったバスタオルを
何気なくつまんで床に投げた。
「あ」
ワタシは瞬時に事態を理解した。
そのタオルは横に座っているあのどんぶりの人のだ。
<まずい>
ワタシがすばやく「スイマセン」と言って
拾い上げて元に戻した。

その人はムッとした表情で父のほうを見た。
そこにいたのはヨボヨボのおじいさん(つまり父の事)だった。
何しろ風上に向っては歩けないくらいの、
ヨット型の老人力を持った人だったのでどうにもならなかった。
下手に触って転んだら、
傷害罪にも殺人罪にもなってしまうような危ない存在なのだ。
そんな老人を張り倒しても、
なんの勲章にもならないのは明らかだった。

したがってなにも起きなかった。
ワタシたち父子が先に帰ろうとした時に
その人がワタシに声を掛けた。
「気を付けて帰んなよ。大事にしてやれ」

洗い場にいた時、ワタシは見ていた。
その人が使っていたシャンプーの銘柄は
<植物物語>。
いかにも軟弱なネーミング。
もうちょっとこういう、男を売り物にしている
人たち御用達の商品名は無いものか。

たとえば、
シャンプー<御意見無用>、
シャンプー<侠気(おとこぎ)>、
または<刺し違い>、<勇み肌>、
あるいは簡単に<漢(おとこ)>で、どでがんす。
また雪
昨夜半から今朝に掛けてまた雪になった。
天気予報通りだった。

雪



このところ寒い日が続いており
日中でも気温が数度くらいにしかならない。
したがってパイナップルを戸外で日に当てる事が出来ず
葉の色が悪くなった。気になる。
香取神社の梅
香取神社はいくつかあるが、
これは近隣の香取神社(墨田区文花2-5-8)。

今年の梅祭りは2月20日(土)~3月7日(日)。

香取神社
蕾みが顔を出しているヒヤシンス
防寒に枯葉を少し敷いてある。

ひやしんす
カスミソウ(霞草)の芽
ちょっと遅れて年末(2009年12月30日)に蒔いた
カスミソウのタネから芽が出て来た。

かすみそう
昨日の夕方の小雨
296m(2月13日現在)。

289m



(※同じアングルからの前回記事2009年9月19日
氷雨の中のチューリップ
今朝、とても細かい(直径1mm以下)雪粒が
音も無く降った。
寒そうにチューリップが耐えている。

チューリップ
自販機ルーレット
この頃あまり見かけないように思うが
自販機でルーレット式の「当り」が出るタイプがあった。

「ピピピピ…」と音と光の点滅が動いて
ルーレットが回り
何十分の1か、何百分の1かの確率で当たるのだろう。

いつも「ホントに当りが出るんかいな」と
疑っていたが…


出た。

例によって重いカバンを抱えて営業活動のため、
「飛び込み」や「アポ有り」の会社回りで
東京中を動き回っていた頃の事(今から見れば随分前)だった。

ちょっとひと休み時に自販機で希望ドリンクを出した後、
ルーレットが回り出した。
ピピピピピピ、ピ、ピ…、ピ…、ピ……、ピ……、『ピ』と
なんと「当」マークの所で止まった。
そうすると全部の選択ボタンが再点灯する。
つまりどれでも好きなものがまた出せる。
(当時は金額がどのドリンクも一律だった気がする)

え?
うれしいんだけど、
本来うれしいんだろうけど、困った。

自宅や会社の近所での出来事なら問題無いが、
出先での出来事だから、後から出したもう1本をどうする?
選択肢はふたつ。
「もう1本を飲みたくなるまで営業中持ち歩く」
「この場で2本飲んでしまう」
(厳密に言えば「再点灯の状態のまま、放置して立ち去る」
というのもあるだろうがそんな事出来ませんって、フツー)

ワタシはやむを得ず「2本飲み」を選択。
1グラムでもムダに荷物が重いのはイヤなのだ。

おかげで胃がガボガボ状態。
歩き出すと胃の中でさざ波が立った(気がした)。
紅 梅
マンション建設過程
0710192007年10月19日

0809232008年9月23日

0906192009年6月19日

0910042009年10月4日

0910222009年10月22日
メトロ車庫
レールの曲線に趣がある。

メトロ車庫
釈迦坂
地下鉄丸ノ内線「茗荷谷」駅から徒歩数分。
地下鉄だけど地上に出ている部分の線路際。

説明文によると、江戸時代にこの坂から
近くの寺の釈迦石像が見えた事が由来らしい。

谷であるから今でもこの辺り起伏が多い。
それはともかく、いささか発音しにくい坂だ。

釈迦坂
薄 暮
この季節、風があるとかなり寒い。

薄暮
京成曳舟駅と踏切
レールを除去した真ん中部分は
この1ヵ月くらいハデな変化なし。
地道に高架化工事が進行中。

突き当たりに見えるのは41階建てマンション。
スカイツリーはこのマンションと
ちょうど重なるのでこの位置からは見えない。

スカイツリーが完成するとその先端が、
マンションの上に突き出て見えるのではないか。

曳舟駅
フジののたうつ蔓
ごつごつ、くねくね、
曲がりくねり、のたうつ。

冬は葉も落ちて寒々しい。

ふじ
「スピリット」の走行探査終了
NASAが2010年1月26日発表/
双子の火星探査車(「スピリット」と「オポチュニティ」)
のひとつ「スピリット」が
昨年から砂地に嵌って動かせなくなっていた。
懸命の脱出策が続けられたがどうにも万策尽き、
「スピリット」の移動探査に終止符を打たれたとの事。

今後は定点観測基地として活用し続けるようだ。

2004年1月3日着陸なので約6年間走行探査した。
距離にして1,500km以上走行したとの事。



(※関連記事は2007年10月11日
東京タワーの存在感を再確認
東京の街にこれがないとやはり絵にならない。

太平洋戦争、朝鮮戦争が一応片付いて、
不要になって払い下げられた米軍戦車を
鋳潰した鉄が使用してあるらしい。
非常に良質な鉄だったので
なかなか潰せなかったらしい。

メンテナンスさえ続ければ、構造体としては
100年や200年は充分維持出来るらしい。
(経営的に可能かは別問題)

タワー700-2
雪の翌昼
昼過ぎ、ムスカリの上に積った雪が
どんどん融けて斑状になっている。

ムスカリ雪
雪の翌朝
昨日14:00頃から雨が降り、
19:00頃からみぞれ、その後雪になった。
今朝雪は止んでいたが都内でも珍しくほんの少し積った。
ニュースでは1cmとの事。

写真は今朝の9:00頃のわが家のベランダだが、
どんどん融け始めている。

雪解け
夜の簿記学校にて
30歳前後の一時期、会社の仕事が終わってから
簿記学校に通っていたことがある。
今からみれば大昔の事、1980年前後か。

生徒は学生や会社員などで、年齢も幅があった。
夜に勉強に通うのであるから
それぞれ苦労している感じがそれなりにあったように思う。

生い立ちも、社会経験もバラバラな人たちが
ひとつの教室に入って簿記の授業を受ける。
生徒同士がすぐに親しくなる訳ではない。
おずおず様子を探りながら声を掛けるという塩梅だった。

簿記1級の検定試験を目指していた。
「商業簿記」「会計学」「工業簿記」「原価計算」の4科目。
授業中イネムリをしそうになる事も往々にある。
イイワケだが、昼の仕事の後なのでやむを得ない事でもある。
だがせっかく授業料と時間を消費しているのに
大事な講義を聞き逃してしまってはもったいない。
そこで「授業中の飲み物OK」という決まりになっていた。
たいていの人がコーヒーを飲んでいた。

教室の外の廊下にコーヒーの自販機があった。
紙コップが自動的にセットされて
コーヒーが自動的に注がれるあのタイプだ。

その日、授業開始スレスレ気味に学校に到着したワタシは
いつものように急いでコーヒーを買った。
お金を入れ、「砂糖なし」「クリーム多め」を選び待った。

「???」
なんかいつもと違う。
ジョロジョロジョロと流れる音がしない。
見ると、「あっ!」
機械のミスで紙コップが斜めにセットされてしまっているではないか。、
上から流れ出たコーヒーが
紙コップの外側を伝って下に流れ落ちている。
絶望的気分ですばやく手を差し入れ
コップを正しい姿勢にセットし直したが
ほどなく1回分のコーヒーの滴りは終了した。
救えたコーヒーの量はいつもの1/5くらいだった。

そこで先生が来たのでタイムアップ。
ちょっとしかコーヒーの入っていない
情け無い紙コップを持って教室に入った。
授業中ずっと釈然としない思いを抱えていた。

休み時間になって、新たにコーヒーを買った。
今度は問題無く成功だった。
誰かに話したくてやっと少し親しくなったヤツに話した。

そいつはそいつの体験談を聞かせてくれた。
この学校の自販機ではないけど、
同じような自販機でコーヒーを買った時の事だそうだ。

紙コップが斜めに出るなら「まだいい」そうだ。
「オレん時は紙コップは出なかった。
だけどコーヒーは出た。
だからコーヒーは勢いよくすぐ下の穴に流れ落ちた。
オレは何も出来ずただそれを見ていただけだった」
それからひと呼吸置いて言った。
「あれは自販機ではなく、誰かの貯金箱だ」