普段のズボン(その2) 『THE KILLING/キリング』その後
「世の中スイスイ(粋々)、お茶漬けサクサク…」志ん生、志ん朝の噺に出て来るフレーズ。肩の力が抜けてあんにゃもんにゃです。~長い散歩の途中~
『THE KILLING/キリング』その後
今年2月にシーズン「1」をレンタルで観終わってからやっと続編にありついた。
デンマークの連続TVシリーズ。

近所のレンタル屋で借りてシーズン2(全10話)とシーズン3(全10話)を観た。
3が最終シリーズとの事。


それなりに期待通りでおもしろかった。
観る価値があった。
相変わらず主人公女性サラ・ルンド刑事のガサツさに閉口しながらも。


「2」では太っちょの法務大臣が新しい切り口のキャラクターだ。チョコレートを食べながらガンバっている。
「3」では首相や大会社社長が重要な登場人物。

このシリーズでは「1」でも政治家が主要登場人物だった。
シリーズを通して“政治家という人たち”周辺の動静、動向を丁寧にかつ執拗に描写している。

米国TVドラマの『24』などでも政治家の身辺がよく描かれていたが
その影響があるのか。



シリーズ全体を通して言える事だが、何と言っても天候が陰鬱。
北欧という高緯度地方だから仕方がないが
それがドラマ全体に通奏低音のように漂っている。
しかも事件設定の時期がいつも11月だから
どんより曇っているのは当たり前で、雨が降っている事も多い。
たとえ晴れていても日差しが弱々しい。
それと寒い。
太陽が燦々としてスカッとした秋晴れなんて無い。
観ていて気分が滅入る。
しかしそれが同時にこのドラマに独特の味付けをしているのだからおもしろい。



「2」は「1」の事件から2年後。
サラは「1」の後、左遷され国境検問所で働いていたが、新たな事件が発生し
元上司のブリックスから手伝ってくれと依頼され関わる(ちょっとご都合主義)。
「2」ではデンマーク軍や軍人も絡む。

上司ブリックスは無愛想で容貌魁偉だけど節々でちょっと漢気(おとこぎ)を見せる。

「3」は「2」から3年後という設定。
「1」ではサラの息子が小さかったが「3」ではもう恋人を妊娠させている。
サラは息子との間柄がうまく行っていない。
メチャクチャ忙しい刑事という仕事にのめり込んでいたので、
離婚母子家庭だった息子に多くのしわ寄せがのしかかっていた。
その反動が「3」で描かれていて息子は母を恨んでいる。



前回も言及したが先発の英国TV連続ドラマ『第一容疑者』の
“女性刑事ドラマ”というコンセプトを思い出さずにはいられない。


政治家たちの右往左往、駆け引き、離合集散、政敵の失点を利用して
我田引水する常套手段描写が連続して、どこの国も似たようなもんだと思わせられる。



ある登場人物に疑惑が生じ、犯人かと追いつめるとすんでの所で疑いが晴れる。
次に別の人に疑いが出て徐々に突き詰めるとまたあと一歩の時点で反証が出る。
それが次の人、さらに次の人と何回も何回も繰り返される。
そう簡単には終わらせないよという製作側からのメッセージだ。
観る方も慣れて来て、あと何話残っているから「マダマダだ」。


エンディングは予想外だった。
月並みな言い方を使えば“衝撃のラスト”。
“サラ・ルンドの物語”らしい終わり方だった。
死んだわけでは無い。

最終章という惹句だったがこれだとまだ続きが作れる可能性がある。
どういう事なんだかなぁ。

ハッピーエンドではなく、そうかと言って一概にアンハッピーエンドとも言い難い。
言葉を捜すなら“苦い”が一番近いかも知れない。
現実の世界は簡単ではなく、単純ではない。
あちらを立てればこちらが立たず、こちらを立てればあちらが立たず。
百点満点の結果はどこにも無いということだ。

リアルな世界はこんな事のくり返し。
能天気にスカッとしたストーリーしか見たくない人には不向き。
ワタシには、…幸か不幸か楽しめた。


(※前回記事/2014年2月1日